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扇町創造村(OCV:Ogimachi Creative Village)】構想について
1.扇町創造村構想の概略
 まず、扇町創造村構想の概略を説明しましょう。多くのことに触れる必要から、話は箇条書きにちかいものになりますが、しばらく我慢して読んでください。
(1)名称
 扇町創造村、あるいは扇町芸術村を一応の仮称としています。この運動が本格的に立ち上がるときに正式名称が決まることになります。以下で分かるように、これは行政区域の扇町よりかなりひろい地域を対象していますが、大阪の北の新しいシンボルとしては、この地域の中心に位置し、名前も優雅な扇町はどうかというアイデアです。江戸時代の名前を復活させて「天満組創造村」といった名称も候補のひとつです。
(2)対象地域
 大阪市北区のうち、中ノ島を除く全域が対象地域です。地域名としての扇町より非常にひろい範囲を考えていることに注意してください。とくに、西の方では中津や西梅田を含みます。北は淀川、東と南は大川で区切られた地域一帯が対象です。有名な地域名では、中津と梅田の他、天満・西天満、天神橋筋、中崎町、南森町などがあります。長柄、豊崎は、難波宮時代からの古い歴史を引き継ぐものです。
 大阪の中では、いわゆる「キタ」を含み、多数の事業所の立地するところですが、同時に広告、カタログ制作などを中心とする多数のクリエータが仕事場としています。出版・映像・音楽・舞台芸術などでも大阪で高い集積率をもちます。老松通りのように、大阪では珍しい画廊・骨董商の町もあります。放送局や新聞社などのマスコミの拠点でもあり、多くの専門学校が立地する若者の町であるという特徴もあります。
(3)目指すもの
 この地域にはすでに多様な創造活動の集積があります。その集積を生かし、地域全体をさまざまな創造活動のインキュベータとします。多くのクリエータ、アーティストがこの地を拠点として、全国的・世界的に活躍する町をめざします。芸術活動や創造活動で多くの人が生きられるだけでなく、創造の傾向や思想をめぐり討論が沸騰する町、新しい芸術運動・創造運動が生まれ、芸術の新しいジャンルが育つ町をつくります。
(4)期待される効果
 効果としては短期・長期にさまざまなことが期待されます。短期的に実現可能なものから長期的な期待までを箇条書きにまとめると以下のことなどが期待されます。
 (1)この地域から先端的なモードやライフスタイルが発信されるようになる。
 (2)全国から若いクリエータ・芸術家などが集まり、活躍する町となる。
 (3)この地域がインキュベータとなり、多様な第4次産業・第5次産業が育つ。
 (4)ここで生まれる新しい傾向がアジアや世界に発信される基盤となる。
 (5)芸術を含めた新しい思想運動の震源地となる。
 (6)世界の知的活動・創造活動のひとつの拠点として求心力をもつ町となる。
(5)必要性と緊急性
 21世紀においては、個人の創造活動を中心とする第4次・第5次ともいうべき産業が大きな割合を占めると予想されます。大阪は、商業の街・工業の町として発展してきましたたが、アジア諸国の追い上げのなか、現在は産業構造の大きな転換点にあります。大阪・関西の将来を考えるとき、この大きな転換を見据えて、時代の流れを先導する政策が必要です。
 従来の産業政策・経済政策は、旧来型産業を再活性化させようとするものでした。そのような政策も必要ですが、大阪・関西の持続的な発展を図るためには、それは後ろ向きの政策です。今後伸びるであろう産業部門を強化し、世界における都市競争において尊敬される地位を確立できるだけの、先導性・戦略性が要請されます。扇町創造村は、創造活動を中核とする21世紀の産業構造の創出基盤を用意しようとするもです。
 創造活動は、すぐれて知的な活動です。沈滞した空気の都市では、世界的に活躍するクリエータやアーティストの拠点となることはできません。大阪に東京やニューヨーク、パリなどに匹敵する刺激的で沸騰した空間をつくりだすことが必要です。こうした空間が今形成できなければ、現在あるクリエータたちの集積も、次第に東京や横浜に吸収され、将来そのことに気づいたとしても取り返しがつきません。いまが最後の機会です。
(6)認識を変える
 この地域におけるクリエータ、アーティスト、プロデューサ、デザイナー、映像作家、編集者などの集積はすでに相当なものですが、そのことが個々の制作者たちや、かれらに仕事を依頼する発注者たちに意識されていません。創造村構想は、そうした現状に対する「にがり」の役割を果たそうとするものです。
 この地の人的集積のもつ意義を再認識してもらうことがまず必要です。そうすることで、すでに自然発生的に存在する多様な動きに、共通の目標とコンセプトを与えます。それらが共鳴して大きなうねりとなり、この町を創造活動のメッカとすることが目標です。
(7)具体的方策
 具体的な方策として、創造村の意義と可能性を理解し、その実現に協力してくれる多様な個人・団体の緩やかなネットワークを組織します。
 中心となるべきは、個人事業者として活躍するアーティスト、ミュージシャン、クリエータ、デザイナー、俳優・女優、声優、映像作家、アニメ作家、編集者、プロデューサなどです。インキュベータや大学などの組織がサポート役とプロモータ役となることが考えられます。
 応援者・応援組織としては、この地のインキュベータや専門学校や大学院、専門学校、新聞・放送・雑誌などのメディア関係者、イベントホール、画廊、レストラン、ホテルなどがかんがえられます。これらの人々に賛同してもらい、専門職業人の枠を超えた動きをつくりだします。
 これらの人々を中心として、創造村にふさわしいさまざまな取組みを作りだすほか、地域のインキュべーション能力を高める仕掛けと構造を作りだします。
 


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